湯治セラピー
滞在型湯治セラピー
日本のセラピー「湯治」
身体の病気やケガ、不具合、老化、精神的な疾患、落ち込み、トラウマ・・・現代人は様々な悩みを抱えて生きています。
現代医療が著しく発展しているにも関わらず、病気や悩みは少なくなるどころか、年々増えてきているのが実状です。
それに比例し、現代では様々な療法やセラピーが開発され、世の中に伝えられていますが、まだまだ日本では一般にセラピーが普及していないのが現状です。
その理由は、経済的な負担が大きいこと、また、大きくは心身の健康増進・予防にセラピーが有効であるという考えがまだ認識されていないからです。
例えば、精神的に大きな落ち込みがあり、改善を試みようとするとき、ほとんどの方に、「セラピーを受けよう」という思考は生まれないのではないでしょうか。
日本では現代医療と代替療法を統合して治療を行っているところは少なく、人々にとってセラピー療法は「特別」「異質」であるのは事実であり、セラピーは「気持ち良さ」「リラックス」を提供する慰安行為に留まっています。
一方欧米では、副作用が少なく穏やかに効いていくアロマセラピーやアーユルベーダ、指圧、ヨガや瞑想、心理セラピーなど、様々なセラピーや代替療法が一般的に普及し、健康保持や予防のために活用されています。
アメリカの多くの大学では医学部に「代替医療研究センター」が設立され、西洋医学と代替療法を融合した「統合医療」を実施し、治療効果を上げる試みが行われています。
しかしながら、日本人が古くから行ってきたセラピーがあります。それは「湯治」です。
湯治。辞書には「温泉や薬草入りの湯にはいって病気を治療すること」とあります。
温泉の効能によって体調を整え、病気やケガの治療に役立てるような温泉療法を言い、医学的に認められた医療法のひとつとされています。お湯によって効果は様々ですが、温熱効果で血管が拡張され、黒ずんでいた静脈が動脈血のような赤色に変わるなど血行が良くなります。また、タンパク質が柔軟化して関節や筋肉の弾力性も高まるため、リハビリ効果が促進されると期待されています。
日本は言わずと知れた「温泉大国」です。源泉数は 2 万 7000 本を超え、湧出量は毎分約 260 万リットルにものぼります。
昔から、日本人は体を癒すため、疲労を回復するため、休息のために温泉を利用してきました。
また、温泉にかかせなく、古くから日本で親しまれてきたのがマッサージです。※正式には按摩、指圧、鍼灸など
温浴のあと、按摩師を部屋に呼びよせ、布団で施術を受ける。あるいは銭湯にもだいたいマッサージチェアがおかれているのを目にします。
現在も全国の温泉旅館でマッサージやリラクゼーションがない施設を探すほうが難しく、温泉とマッサージは切っても切り離せないものとなっております。
温泉とマッサージ、リラクゼーションの組み合わせは単なる慰安的な癒しを超えて、健康の維持と増進、病気の予防と回復に効果的であるという認識も少しずつですが、広がってきています。
温浴+マッサージ合わせて湯治と言ってもいいのではないでしょうか。
新しい時代の湯治~「癒し」という言葉の普及~
医学の父といわれる、ヒポクラテス(古代ギリシャ)はこんな言葉を残しています。
「健康は芳香風呂に入り、香油マッサージを毎日行うことである」
ヒポクラテスが生きたギリシャ時代には、樽に水を張って、入浴することが初められていました。その後ローマ時代には戦いによって負傷した戦士たちの傷や病気を癒すために各地にスパ(温泉施設)がつくられました。そこでは、すでにバラなどを浸出した香油でマッサージ(トリートメント)を行っていました。有名な漫画のテルマエロマエでその様子が描かれていますので、ご存知の方も多いと思います。
17 世紀になると、さらに温泉の治癒力が医学的に裏付けされていきます。18 世紀には、温泉は王室貴族たちが長期滞在する高級保養地のスタイルに変化していきます。20 世紀になると、それまで医療目的が強かったスパも、特にアメリカでビューティケアやストレスケア、フィットネス目的の要素が加わっていきます。
この時に、メディカルスパ(代替療法的な医療サービスをするスパ)、デイスパ(宿泊せずに利用できるスパ)、ディスティネーションスパ(目的型スパ)などの言葉が生まれていきます。
いわゆる「スパ・ムーブメント」の到来です。
近年、日本でスーパー銭湯が全国に多数誕生し、若者にも温泉、入浴が親しまれているその背景には欧米のスパ・ムーブメントが影響しています。
現代のスパ ~「癒される」(受け身)から「癒す」「気づく」(自律的)へ~
米国で生まれたスパ・ムーブメントには 3 つの「目に見えない」エッセンス(根本的要素)があります。
●1 つめは「健康の捉え方」。
●2 つめは「ホスピタリティー」。
●そして 3 つめは「インテグレーション=(個々をひとつにして統合する)」です。
SPA の健康の捉え方は、「心・体・気=意識(Spirit)がバランスよく調和していること」です。
単に「病気ではない状態」ではなく、「生きがいを感じ、意識が充実した幸福な状態」を健康と捉えています。
この考え方は、伝統的な古代医学(中国、インド、アラブ、ギリシャ等)に共通する基本的な姿勢です。
病を治すのは人が本来持つ力(自然治癒力)であり、治療とは個々の自然治癒力を高めるための支援行為と考えられていました。
クアハウス、テルメに代表される西欧の伝統的なスパ文化とは異なり、今日のスパの多くが、「癒し」の第 1 段階であるリラクセーション、つまり「癒される」(受動的)を目的としたプログラム(主にマッサージを主とするタッチ、ボディワーク)を重要視してきましたが、 現在では、「癒し」の第 2 段階である「気づき(Awakeness)」、さらに「癒す」(能動的)ことを目的とするプログラムが注目されるようになってきています。
日本でも求められる「真の癒し」
弊社では「心・体・気=意識(Spirit)がバランスよく調和していること」「生きがいを感じ、意識が充実した幸福な状態」であることが、結果的に病気の予防にもつながり、心身共に健康的な状態をてにいれることが出来る、と考え、そのための効果的なセラピーを研究しています。
その一つとして、日本古来の療法である「湯治」に着目し、2018年より、古くは日本三名湯といわれた宮城県仙台市の秋保温泉卿にある旅館「蘭亭」の中にセラピーサロンを開きました。
これまでの美やリラックスを売りにするエステティックやリラクゼーションサロンから次元を超えて、気づきや学びを得ながら、豊かな人生を生きるための、本格的でかつホリスティックな「真の癒し」を求められてるなか、現代人の心身の悩みの解決、緩和、予防に、湯治セラピーが希望の光となる可能性が大いにあると考えています。